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「初めまして、くるみの母です。いつも娘がお世話になっています」

美羽もぺこっとおじぎをすると陽は少し緊張がとけた

「くるみが付き合っているのは知っていたけど、こんなハンサムな子だとは思わなかったわ！えっと、矢川くんでいいかしら？」

はいと陽が言いかけた時にむつみが大きな声を出した

「ちがうもん！この人お姉ちゃんの彼氏じゃないもん！」

むつみの声にみんなびっくりする

「むつ〜何言ってるの？陽ちゃんのこと前に教えたじゃん」

なつみがむつみを諭すように言うとむつみは反論する

「お姉ちゃんの彼氏はむらせって人だもん！バスケが上手なんだってお姉ちゃん言ってたもん！」

「え？」

くるみが驚いてむつみを見る

なつみも美羽も何が何やらわからない顔をしていたが陽は凍りついた様な顔をした

「むつみ？お姉ちゃんの彼氏は…」

言いかけた時に陽はその場から逃げるように走り去った

「陽⁉︎」

陽を呼びながら追いかけたが慣れない下駄でうまく走れず見失ってしまった

「はぁ、はぁ…携帯」

くるみは何度も陽にかけたが繋がらない

菫や相悟にもかけたが繋がらなかった

（なんでこんな事になったんだろう…私はむつみに何も言ってないし、むつみが嘘をつく訳ない。何か理由があるはず…）

考え込んでいるとぽんっと肩を叩かれた

陽だと思って振り向くと知らない二人組の男が笑っている

「やべー！超かわいい♡」

「1人だよね？俺たちと一緒に花火みようよ」

「結構です。一人じゃないので」

くるみが離れようとすると待ってよ〜と手を掴まれた

「さっきから見てたけど逸れちゃったんでしょ〜？この人混みじゃ見つからないから俺たちと居ようよ♡」

「離して下さい！」

くるみが振りほどこうとするが男の力には敵わない

「まあまあ！ツンツンしないで楽しもうぜ？」

くるみの腰に手を回して顔を近づける

「いや！」

思いっきり平手打ちをした

「いってー！こいつ」

殴ろうとする男を見て咄嗟に目をギュッとつぶった

「…？」

いつまでも痛みがこないので恐る恐る片目を開けると男の手を捻りあげている良輔がいた

「良輔さん？」

「やっぱりくるみちゃん！浴衣姿もマジかわいい♡」

いてーと叫ぶ男の足を思いっきり蹴飛ばすと男は転ぶように前に倒れた

「やりやがったな！」