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彼女の恋愛

第8章 夏休みの彼女

「良輔さんって優しいですね。貝殻もチョコレートも…なんかすごく暖かい」

くるみがふっと笑うと絆創膏を貼り終えた良輔がくるみの手を取った

「くるみちゃん、妹ちゃんが誤解したのには何か原因があると思う。その村瀬って子と一緒の時に会ったりした?」

「私は会っていないけど村瀬くんは私達をたまに見かけるって言ってました」

「うんうん、じゃあ家で電話とかは?」

「電話なんてしてなかったと思いますけど…」

くるみは携帯の着信記録を見返すと試験期間中に村瀬からの履歴が残っていた

「あ、電話していました。試験期間中で…そうだ、むつみとお風呂に入っている時になつみが陽からだって携帯持ってきて…」

「それだよ!その時に誤解しちゃったんじゃないの?」

「……内容はあまり覚えていないけど、村瀬くんと私とむつみの接点ってそこしかないかも…」

その時、携帯が鳴った

ディスプレイを見ると家の固定電話からだった

「もしもし?お母さん?」

「くるみ、矢川くんと会えたの?」

「うん。いま一緒だよ?大丈夫!」

心配をかけさせまいと嘘をついた

「あの後なつみとむつみも喧嘩して大変だったのよ。でも仲直りが出来たなら良かったわ」

「ごめんね。あまり遅くならないように帰るからね」

「…くるみ?私はあなたの母親だからあなたが心配だし、まだ高校生なんだから自分で責任取れないような行動はして欲しくないわ」

「うん」

「でもあなたの事を信じているから、もし矢川くんとまだ何かあるなら解決してから帰って来なさい。例え朝になっても。 ただし心配だからどうなるかはメールすること!」

「お母さん…嘘ついてごめんね…」

くるみは再びポロポロ涙が溢れた

隣で聞いていた良輔はくるみの頭をそっと撫でた

「いいのよ、心配させないようについたって解っているから。今は1人なの?」

「ううん、友達と一緒」

くるみは良輔をみて答えた

「わかった。じゃあ気をつけてね?矢川くんによろしく」

通話を終えるとくるみは持っていたハンカチで目元を拭いた

「優しいお母さんなんだね」

良輔がくるみに話しかけるとうんと頷いた

「陽の誤解が解けるまで帰らなくていいって。」

「そうか…」

「でも電話にも出ないし、一体何処にいるんだろう…」

「家に帰ったとか?」

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