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彼女の恋愛

第8章 夏休みの彼女

「家に行ってみようかな」

「じゃあ近くまで送る。また何かあったら大変だからね」

「でも良輔さん花火は?誰かと来てたんじゃないんですか?」

「無理やり誘われて、買い出し途中に逸れたから大丈夫♪ しかもこんな可愛いくるみちゃんに会えたしアンラッキーってやつだな♡」

立ち上がってカーゴパンツのお尻をパンパンと払ってくるみに手を差し出す。

「歩けそう?」

「大丈夫!歩けます」

手を繋いでゆっくり歩き始めた

「くるみちゃん、今から俺の言うことは聞き流してもいいよ。俺はさっきの連中よりくるみちゃんの彼氏を殴りたかった」

「え?」

「花火大会の会場なんてああいう連中も多いし、酔っ払いやスリもいる。
そんな中に置き去りにするとか情けない男だよ」

「でも…私が反対の立場でも逃げ出しちゃうかな。良輔さんには言ってなかったけど村瀬くんとはいろいろあるんです」

簡単に説明すると良輔は首を振った

「それでも俺なら絶対そんな事しない」

くるみを真っ直ぐに見つめる

「いまはくるみちゃんを悩ませちゃうだけだから何も言わない。でも今日みたいな事が万が一あったら、俺に連絡ちょうだい?」

「良輔さん…」

「約束だよ?」

笑ってまた歩き出し雑貨屋でくるみにリボンがついたサンダルを買って履き替えらせた

「お金払いますって!!」

「だめ!今日の偶然出会った記念だから♡」

「…ありがとうございます」

駅まで歩くと良輔に別れを告げた

「じゃあ気をつけてね。まだこの辺にいるから何かあったら連絡して?」


「わかりました。良輔さん本当にありがとうございました。」

ペコッとお辞儀をして頭をあげるとじゃあねーと笑って歩き出した

良輔の後ろ姿を見ていたくるみだが気合入れて陽の家を目指した

良輔の買ってくれたサンダルのおかげで足の痛みはずいぶん軽くなった

陽の家の前に来ると大きく深呼吸して呼び鈴を鳴らした

暫くするとインターホンからハイと声がした

「陽?私、ちゃんと話したくて…電話に出てくれないからって、家までおしかけちゃってごめんなさい。」

謝るとガチャっと受話器を置く音がして玄関のドアが開いた

「陽!」

玄関から現れたのは陽の兄の圭だった

「君は森野さんだよね? 陽ならまだ帰ってきていないよ?」

「!すいません。陽の声と似ていて間違えてしまいました…」

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