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彼女の恋愛

第8章 夏休みの彼女

陽はズサッと転び自動販売機に倒れこんだ

「良輔さん⁉︎ なんで?」

くるみは良輔を見て倒れた陽に駆け寄った

陽はいてーと頰を抑えたが良輔を見て睨みつけた

「いてーな!テメー誰だよ⁉︎」

「くるみちゃんの友達だ。お前が彼氏だな?」

良輔は静かにゆっくり答えたが、陽は戦闘態勢に入る

「お前が小学生の勘違いを真に受けてくるみちゃんを一人にした事で彼女がどれだけ怖い思いをしたかわかっているのか?」

先ほどまで隙あらば良輔に殴りかかろとしていた陽だが、くるみを見てハッとした

「…お母さん達と居なかったのか?」

「うん。陽のことずっと探してた」

くるみを改めて見てみると浴衣は少し汚れて髪の毛も乱れている

下駄がいつの間にサンダルになっているのを見て陽は黙った

「この人は良輔さんって言って菫のお兄さん達の友達なの。変な人達に絡まれていたところを会って助けてもらったんだ」

陽は黙っていたが良輔に向かって頭を下げた

「くるみを助けてくれてありがとうっす」

「…」

良輔は黙って陽を見ている

「それから…殴ってくれてありがとうっす。少し目が覚めました」

陽の言葉を聞いて一気にヘラッとする良輔

「あ〜良かった!殴られちゃうかと思って焦っちゃった〜!俺、喧嘩弱いからさ」

ニッと笑って陽の頭をポンと叩いた

「陽くんだっけ? 男ならいろんな事を我慢して彼女をいつでも守らなきゃダメだぞ?」

「…はい、すんません」

「それが出来なきゃ俺がもらっちゃうからね〜?」

「…それはダメっす」

良輔はヘラヘラ笑ってくるみに話しかけた

「びっくりさせてごめんね。ちゃんと仲直りするんだよ〜」

「良輔さん…ありがとう」

じゃあね〜とヘラヘラしながら良輔は去っていった

「…」

「…」

「立ち話もなんだからどっか入って話そうか?それにほっぺ手当しないと」

「…くるみ…ごめん」

「私が謝らなきゃいけないのに」

くるみは笑って近くのコンビニに陽を連れて入り、湿布を買って駅前のカラオケに入った

部屋に入るとまずは湿布を眉毛はさみでカットして陽の腫れたほっぺに貼った

「っつ!」

「痛い?」

「今になってスゲー痛い。喧嘩弱いって言ってたけどあれは何か格闘技やってるよ」

「日大の1年だから、スポーツは何かやってるだろうね」

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