テキストサイズ

彼女の恋愛

第8章 夏休みの彼女

「俺もバスケ推薦で日大行きたいな」

「陽なら行けるよ」

くるみは湿布のゴミをコンビニの袋に入れて陽にドリンクを手渡した

「むつみの事、説明してもいい?」

「うん」

「私も最初は訳がわからなかったの。村瀬くんが彼氏だなんて言った憶えないし、でもむつみがそんな嘘をつく筈もないから…で、1つだけ心当たりがあったの」

陽は黙って聞いている

「試験期間中にむつみとお風呂に入っていた時に陽から電話来て折り返すって切ったの覚えてる?」

「…なっちゃんが持って来ちゃったってやつ?」

「うん。で、陽のあとすぐに村瀬くんから電話きたの」

「なんであいつが?」

「私は陽だと思ってディスプレイみないで取っちゃって…番号は知り合いから聞いたって言ってた」

「…なんの用事だったの?」

「う〜ん、あまり覚えてないんだよね。買い物帰りに村瀬くんと会って袋を落として何か壊したものあったら弁償するとかそんなの」

「ふ〜ん」

「で、すぐに切ったけどその後にむつみが彼氏どんな人って聞いてきたからバスケが上手なんだよって言ったんだけど…」

陽は下を見て頭を抱え大きいため息をついた

「俺、すげー情けない。くるみのお母さんの前で逃げたりして…よく考えれば村瀬と付き合ってるとかあり得ないのに」

「お母さん、陽によろしく伝えてって言ってた。気にしないで?」

「くるみ、変な奴らに絡まれたんだろ?俺が逃げなければそんな思いもしなかったのに…」

「ちょっと嫌だったけど大丈夫。おかげで陽が私に隙だらけって言ってた意味わかったし」

「散々な花火大会になっちまったな…くるみ、まだ時間ある?」

「うん。大丈夫」

陽はくるみの手をひいてカラオケを後にした

駅前のコンビニで線香花火を買って陽の家まで来た

「陽、こんな時間にお邪魔すると迷惑だよ」

「先週から親父が単身赴任してお袋も少しの間付き合ってるから圭しかいないよ」

陽が鍵をあけて入るとくるみも戸惑いながらお邪魔しますと続いた

リビングのソファに圭が座っていて、陽を見るなり攻めたてた

「陽!バカなやつだと思っていたけど大馬鹿野郎だったな。こんな時にあの子1人にするとか」

陽が俯いていると後ろからくるみが顔を出した

「圭さん、さっきは本当にありがとうございました。勉強の邪魔してすみません」

「…来てたのかよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ