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彼女の恋愛

第9章 倦怠期な彼女

ドアを開けておずおず中の様子をみる

「…お呼びでしょうか?」

「おう、入ってこい」

小島は自分の前の椅子を指して座れと促した

小島は口調こそ悪いものの裏表なく平等に接することから、本人の意思とは関係なく多数の生徒から好かれている

くるみが席に座ったのを見て抽象的な質問をした

「森野さ〜、最近どう?」

机で指をトントンと鳴らしながらくるみを見る

「何がですか?」

「ん?いろいろだよ」

「先生…宿題の件ですよね?いくら考えてもわからなかったんです。手を抜いたと思われたかも知れませんが、本気で取り組んであの状態です!」

「…」

「自分でもダメなのはわかっていました。1つ1つ聞いてちゃんと空欄埋めます!だから怒らないで下さい」

「…呼んだ件は違うけど、おまえの宿題そんな酷いの?」

「へ?」

涙目になっていたくるみは気が抜けた声を出した

「まだ見てないけど…そんなに酷いのなら考えないとな…」

小島は腕を組んで考えながら背もたれに寄りかかったのをみて、くるみは慌てて用件を聞いた

「せ、先生の用件はなんですか?」

「おう、そろそろ時間もないから単刀直入に言う。図書委員やらない?」

「図書委員?それって希望制じゃないんですか?」

「駅前にデカくて綺麗な図書館あるから利用者が少ないんだよ。その所為かイマイチ人気がなくてな。今までの図書委員も受験やら部活でやめちまった」

「私、家庭の事情であまり放課後は時間取れないんですけど…」

「何時まで帰らなきゃいけないんだ?」

「う〜ん、5時には学校出たいです」

「どうせ利用者も少ないし、森野の都合に合わせていいぞ」

「え〜。でも、どうして私なんですか?」

「おまえ真面目だし、部活やってないし。それに勉強しなきゃいけないなら好都合だろ?」

「でも何やればいいかサッパリですよ」

「引き継ぎは頼んでおくから今日からよろしくな!図書委員!」

話は終わったとばかりに立ち上がる小島にくるみも立ち上がって抗議する

「待って!やるって言ってません!」

「じゃあ宿題を1つ残らず穴埋められるまで図書室でやれ」

「え」

「松岡みたいに適当にやってもすぐわかるからな。真面目に頼むぞ♪」

小島はポンとくるみの肩を叩いて出て行った

(さいあく…)


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