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彼女の恋愛

第9章 倦怠期な彼女

カウンター側に向かい椅子に腰掛けるとノートが目に着く

(これが引き継ぎかな?)

開いてみると新しい図書委員さんへと書かれていて図書委員の仕事について丁寧に書かれている

ボーッと読んでいるとガラっとドアを開ける音がした

「お!嫌々だけどさっそくやってくれてるな」

小島が様子を見に来たようだ

「先生言っても聞いてくれないから、もういいです…」

「そんなこと言うなよ!ほら」

小島はくるみにミルクティーの缶ジュースと提出した真っ白に近い宿題を渡した

「就任祝いだ!飲め!」

「ありがとうございます…」

受け取ってくるみは頭を下げた

「森野はやっぱり素直で真面目だな!安心したから俺は行くよ」

「はい…あ!待って!」

「何だ?」

「あの…日曜日、ここで勉強してもいいですか?」

「日曜日に?なんで?」

「ちょっといろいろ事情があって…先生に宿題のことで怒られて特別補習してることにして貰えると助かるんですけど」

「…日曜なら俺も学校にいるからいいけど、嘘ってのはいつかバレるぞ?」

「わかっています。日曜だけなんとか…」

小島はわかったと返事をして図書室を出て行った

くるみは再び椅子に座るとゆっくり缶を振ってミルクティーを一口飲んだ

心地よい甘さにホッとするが気持ちを入れ直して宿題のページをめくった

グラウンドから賑やかな部活に勤しむ生徒の声と秒針の音がなんとも心地よく勉強がはかどるし、わからないことがあれば幾らでも調べられる

くるみは気づかない間にかなり集中して勉強をしていた

ガラっとドアの開く音がしたのでびっくりして入り口を見ると、村瀬がびっくりしてくるみを見ていた

「森野さん?なぜ貴方がここに?」

「びっくりしたー!村瀬くんか」

「まさかこんなところでお会いするとは思いませんでした」

「小島先生に今日から図書委員をやる様に言われたんだけど、そんなに変かな?」

「そうですか。変ではありませんが、見慣れないので新鮮です」

「えっと、本の返却?」

「はい、以前の図書委員は不規則でしたから返却がだいぶ遅くなりました」

くるみに本を渡す時にカウンターの奥に辞書や参考書が山積みになっているのに気付いた

「ザ マン フー ラブド オンリー ナンバーズ? これミステリー小説?」

「…ドキュメンタリーです」

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