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彼女の恋愛

第9章 倦怠期な彼女

「うわ!全部英語…これ読めるの?」

「辞書なしでは読めませんよ。翻訳も一度読んでいますし…それよりこんな時間まで残っていて大丈夫なんですか?」

村瀬に言われ時計を見ると6時を過ぎていた

「嘘⁉︎ やばっ!」

慌てて片付け始めるくるみを手伝う村瀬

脚立で引っ張り出した辞書もスッと届いてしまう

「村瀬くん、ごめんね?ありがとう」

くるみがお礼を言うとふっと笑って黙々と手伝う

「勉強をしていたのですか?」

「あ〜、一応そうかな。 夏休みの宿題全然わからなくて殆ど空白で出しちゃってたからやり直してたの」

「…ダメじゃないですか」

「ハイ…なんか集中出来なくて。でもここだとすごい捗るからびっくりしちゃった!」

テキパキ片付けをしながら村瀬の本を返却手続きしようとすると、村瀬がスッと取り上げた

「急がしいようですから明日にします」

「でも折角来てくれたからいいよ?」

「大した手間じゃないので…明日も来ていいですか?」

「もちろん。じゃあお言葉に甘えるね」

村瀬とくるみは図書室を出てくるみが鍵をかけてポケットにしまった

「うわ〜すっかり長居しちゃったな〜」

ん〜と体を伸ばしながらくるみはふと気が付いた

「バスケ部ってこの時間まだ練習中なんじゃないの?」

「捻挫をしたので早退しました。ダメ元で図書室に行ってみたら明かりが点いていたので…」

「大丈夫?確か大きな大会あるんだよね?」

「大丈夫だと思います」

「そっか、でも無理はしないでね」

返事の代わりに柔らかく笑う村瀬

くるみもつられて笑うが村瀬がトントンと時計を指差すと慌て始めた

「村瀬くんごめんね、また明日!」

「森野さん気をつけて下さい」

くるみは家まで走り続け到着すると、お腹空いたとむくれるむつみとなつみに謝り手軽に親子丼とサラダと豆腐の味噌汁を作った

「お姉!なんで遅かったの?」

「今日から図書委員になっちゃってさー、勉強してたら時間忘れちゃった」

「とかなんとか言ってー!陽ちゃんと一緒だったんでしょ?」

なつみがニヤニヤ笑いむつみが陽ちゃん?と聞いてくる

「本当に勉強していたんだよ、陽も部活あるから会ってないよ?」

「ハイハイ、そういう事にしておくよ」

くるみはなつみの言い方に少しむっとしたが、黙った

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