無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「価値観？良かったら話聞こうか？」

「ううん、陽が相悟くんに話さないのに私が言うわけにはいかないから」

「わかった。俺はいつでも相談に乗るから」

「ありがとう。相悟くん」

「うん、じゃあね」

くるみは電話を切って深いため息をついた

（神様…モテ期なんて欲しくないです！お願いだから陽と昔みたいに仲良く過ごせますように）


日曜日

くるみは制服で学校に向かった

図書室に鍵を開けて入ると窓を開けて簡単に掃除をした

本棚の埃を払ったり、テーブルや椅子やカウンターを雑巾で水拭きした

床もはいてモップをかけると見違えるように綺麗になった

掃除道具を片付けて手を洗うとカバンから宿題を手に取り、カウンターに座った

必要な辞書や本を取ってしばらく解いていたが、前ほど集中出来なかった

どうしたものかと腕を組んで考えているとガラっとドアが開いた

「先生！」

「まさか本当に勉強しに来るとは…」

小島が入ってきてくるみにほいっと冷たいお茶をくれた

「いいんですか？ご馳走様です！」

「掃除したのか？えらいな！」

小島はポンとくるみの頭に手を置いた

「埃っぽかったから…先生どうしたんです？」

「俺は部活の指導に来たんだが、お前の嘘を本当にしてやろうと思ってな。少しだけなら勉強みてやるよ」

「先生！良いんですか？でも剣道部は大丈夫ですか？」

「少しなら大丈夫だろ、どこかわからないとこあるか？」

「数学が全然わかりません；」

「どれ？あぁ、二次方程式はこの公式を使うんだよ」

サラサラと公式を書き出す小島

「先生の担当教科は古典なのにすごいですね！」

「…こんなん誰だって解ける。森野は真面目なんだからコツさえ覚えれば成績伸びるぞ？」

「ゔっ…頑張ります」

「解いてみろ？」

う〜んと言いながら解いて見せると小島が正解！とくるみの頭を撫でたと同時にガラっとドアの開く音がした

入り口をみると村瀬が本を持って二人を見ている

「おう村瀬！どうした？」

「借りていた本を返却に来ました」

「返却って、お前日曜日だぞ？」

「図書室の窓が開いていたので…返しに来ました」

「そうか！さすが名探偵ポアロだな」

小島は村瀬の持っている本をチラッとみて笑った

「先生もアガサクリスティ好きなんですか？」

「昔はよく読んだよ、懐かしいな」