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彼女の恋愛

第9章 倦怠期な彼女

振り向くと相悟が立っていた

「やぁ、くるみちゃん。図書委員になったんだって?」

「相悟くん、どうしたの?」

「村瀬を捜していたら小島先生に教えてもらったんだよ。最も捜していたのが俺で良かったけど」

「…何の用ですか?」

村瀬がすくっと立って相悟を見る

「コーチが来て村瀬の怪我の具合を見たいそうだ。次の大会のスタメンを決める参考にするらしい」

「そうですか、わかりました」

「村瀬くんありがとう」

くるみがお礼を言うとふっと柔らかい表情をした

「またいつでも呼んでください。くるみ、頑張って」

「村瀬くんも頑張ってね」

ドアを通り過ぎても動かない相悟に村瀬が仏頂面で話しかける

「宮澤は行かないのですか?」

「少しくるみちゃんと話したいことがあるんだ。先に行ってくれ」

村瀬はチラッとくるみを見て、そうですか…と体育館に向かった

相悟は図書室のドアを閉めてくるみの前に椅子を置き、座った

「どうして日曜日にここに?」

相悟がニッコリ笑って聞いてきた

「宿題の出来の悪さに特別補習になったの。相悟くんも自主練参加していたんだね」

「家に居ても仕方ないからね、変なことばかり考えちゃうし?」

「…そうなんだ…」

くるみは笑っているようで笑っていない相悟に少し怖くなった

「補習は誰がやってるの?」

「…今まで小島先生が見てくれていたんだけど、部活で忙しくてたまたま図書室にきた村瀬くんに頼んで行っちゃったんだよ」

「たまたま、ね」

相悟は椅子から立ち上がり、ひらっとカウンターを飛び越えてこちら側にきた

くるみがびっくりしている隙に距離を縮め抱きしめた

「相悟くん⁉︎ やめて?」

「くるみちゃん。俺の気持ち忘れてって言ったけどこんなところで村瀬と一緒に居たりされると決断が鈍る」

「普通に勉強してただけ…んぅ!」

顎をもちあげられて相悟の口で口を塞がれた

必死に離れようとするくるみを壁に追いやって逃げられないように体を寄りかける

「んん…む!」

相悟の舌が入ってきてますます口づけは深くなり、左手でくるみの胸を包むように揉む

再びもがくとガラっとドアが開き村瀬が相悟をおもいっきり引き離し、くるみを背中に隠すように立った

「宮澤…矢川と違って利口なやつだと思っていましたが、どうやら俺の見込み違いだったようですね」

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