テキストサイズ

彼女の恋愛

第9章 倦怠期な彼女

「じゃあ私行くから、村瀬くんも部活頑張って」

「はい。くるみも勉強の続き頑張って下さい」

二人は笑って別々の方向に進んだ

図書室に戻ったくるみはそっとドアを開けて中の様子を見ると相悟の姿はなく、乱れた椅子やカウンターも整っていた

くるみの宿題に綺麗な文字ですまないと書いてあるのを見て、キスした後の苦しいような哀しいような相悟の表情を思い出した

(みんなハッピーエンドになれる道はないのかな…)

相悟からのメッセージをカウンターにうつぶせになりながらしばらく見つめ、小島からもらったお茶を一口飲んで再び宿題に向き直った


しばらく問題を解いているとだいぶ片付いてきたので帰り支度をして、学校を後にした

校門を出ようとしたときに後ろからくるみ!と声をかけられる

振り返ると陽が待っていた

「補習終わったの?」

「うん。先生忙しいみたいでほぼ自習みたいな感じだったけど…」

「帰っちゃえば良かったのに」

「ううん、ズルはダメだから。陽は自主練?」

「そうだけど…なんで、自主練って知ってるの?」

一瞬、しまった!と思ったが陽に説明する

「村瀬くんに会ってそう聞いたから」

「…何時頃?」

「お昼の少し前かな?なんで?」

「相悟にもあった?」

「会ったけど?」

「…さっきまで自主練していたんだけどくるみの下駄箱に靴あるのみて待っていたんだ。少し時間ある?」

「うん、大丈夫だよ」

二人は歩いて駅前のカフェに入った

いつぞや陽がくるみに改めて告白をして仮彼女となった場所だ

(もうあれから5ヶ月か…)

くるみはぼんやり考えていたが陽がテーブル席に座ったので慌てて追いかける

「俺、買ってくるから待ってて?くるみ何する?」

「私、ソイラテがいいな」

「わかった」

陽がトレーにドリンクを持って戻ってきた

ソイラテを受け取って蓋をあけると陽はアイスコーヒーにストローをさして飲まずに一点を見つめている

「陽、どうしたの?」

「…昼頃、村瀬を捜しに行ってしばらくして戻ってきた相悟の顔色がすげー悪かったんだ。調子悪いなら帰れば?って言ったらさ、俺にごめんしか言わないんだよ。何かあったのか?って聞いても言わないし、暫くして帰ったんだよ」

「…」

「くるみ、何か知ってんだろ?教えて?」

「私からは言えない…」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ