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彼女の恋愛

第9章 倦怠期な彼女

「それは相悟とくるみに俺に言えない何かがあったってこと?」

「…」

「マジかよ…」

陽はしばらく黙って俯き、くるみもソイラテから上る湯気を見つめていた

「…ちゃんと話して?俺には聞く権利がある」

陽はくるみの手を握って真っ直ぐに見つめた

「わかった。私の主観になるけど…」

くるみは図書委員になったこと、村瀬がよく利用していたこと、宿題を図書室で行っていたこと、菫と相悟が別れたこと、相悟に自分の気持ちを忘れる様に言われたこと、小島に代わって村瀬に教わっていたこと、相悟が図書室にやってきたこと…順を追って話をした

短気な陽がいつ爆発するか不安だったが、陽はたまに相槌をうったり首を振ったり黙ってくるみの話を聞いていた

「何だか俺が知らないことだらけだな。相悟はまだくるみが好きなのか?」

「以前、菫から聞いて相悟くんから連絡がきたんだけどその時は私と陽の関係を壊したくないから忘れてって言われたの」

「…あいつらしいな。しかしあんな冷静なやつが村瀬とくるみを見て理性抑えられないくらい嫉妬したんだな」

「本当に勉強していただけなんだけど…」

陽はアイスコーヒーを一口飲んで考えことをしていた

くるみは陽への隠し事をこのタイミングで話すべきか悩んでいたが、話す決心をした

「陽、私言ってなかったことがあるんだけど…」

「…なに?」

「補習って言ったけどただの自習だったの…。前にエッチの事で陽と話し合う前に咄嗟に嘘ついちゃって…」

「…」

「本当、ごめんなさい」

くるみが謝ると陽はふーとため息を吐いた

「なんだ。別れ話かと思って強張っちゃった…」

「え?」

「言ってなかったこととか言うから、脅かすなよ〜」

「怒らないの?」

「少しショックだけど今はいろんな事ありすぎて…」

はぁとため息をついて陽は頬杖をついた

「相悟とは小学校から一緒なんだけど、家も近所で仲良かったんだ。あいつ無口だけど頭良いし、運動も出来て女子にモテたんだよ。で、クラスの男子にハブにされていたんだよ」

陽が遠い目をしながらくるみに話しかける

「その頃はクラスも部活も違くて登校する時しか一緒にならないから、俺も気づかなかった。ある時バスケ部のやつに相悟を無視しろみたいな事言われて、俺キレて暴れちゃったんだよ。親呼ばれたり、反省文書かされたり大変だったなー」

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