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第5章 ~過去の片鱗~

「直生には、中学時代からずっと付き合ってた彼女がいてね。自分の彼女にストーカーするくらいのめり込んでてさ。俺も凜も呆れるくらいだったんだけど、高二だったかな、ある親友に彼女を寝取られちゃってね。」

中学から高校二年の間に、暇があれば一つ下の彼女…明澄栞の姿をひたすら盗撮の勢いで動画を記録していた直生だったのだが、全力で愛情表現をしてしまった結果、栞は当時相談相手だった凜と一線を越えてしまった。

「まぁ、その彼にけしかけたのは俺なんだけどさ。…直生と彼女が付き合う前からその彼は彼女を見ていたからさ。思わずけしかけちゃったんだけど。それ以来、直生は何をどう間違えたのか遊び人になっちゃったんだよね。」

彼女の浮気に恐らく気づいていたのに、直生は約一ヶ月を何事もなかったかのように過ごしていた。

そうして、ようやく彼女を促して別れてから、数日寝込むほどだったのに…学校に久しぶりに現われたかと思うと遊び人になってしまっていた。

理由を聞くと、全力で愛情表現しないと気がすまないから、本命をつくらなければ解決するんじゃないか…そういう答えが返ってきたのだ。

「直生って頭良くてさ。ずっと学年トップ三年間キープし続けたんだけど、ちょっと考え方ズレてるんだよね。…そこが面白くて見てると飽きないんだけどさ。」

黙って話を聞いている彼女を眺め、颯太は瞳を細める。

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