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第6章 ~スクープ~

 三十分後、花音の泊まっているホテルの部屋へと入ると、


直生は週刊誌を花音に差し出す。




「ごめんね。


俺、そんなに花音ちゃんが有名だって知らなくてさ。


つけられてたことに気づかなかった。


俺は結構撮られることに慣れてるけど、


君はそんな感じじゃないようだし。


どうしようか?」




「どうしようって? 


直生さんはどうしたいんですか?


 元々直生さんは、真剣な気持ちでキスしたわけじゃないんでしょう?


 だったら、週刊誌に撮られたところで私のことなんて放っておけばいいじゃないですか。」




強気な瞳を向け、彼女はそういってきた。





「放っておけないから、


わざわざ俺がこれを見せに来たんだ。


俺は確かに遊び人だけどさ、


肋骨に罅入ってる状況で


可愛いとも思っていない相手にキスはしない。



隙だらけの君が可愛くて、


思わずキスしちゃったんだ。


今だって、強気な君が意外で、


…ちょっとそういうところもいいなって思ってる。」




素直に直生は彼女にそう告げる。




「我儘です、直生さん。


直生さんには、たくさんガールフレンドがいるんでしょう? 


私は直生さんのお遊びの恋愛に付き合う事は出来ません。


私はたった一人を見続けてくれる人がいいんです。」




彼女はそう言って涙を浮かべた。


それでも凜とまっすぐに直生を見つめる。




「…やばいな、マジで君に惚れそう。」




直生はぽつりとそうこぼす。


凜とした花音の瞳に、


直生は完全に惹かれていた。




「君が望むなら、他の女は全部切るよ?


 俺が本命に一途なのは昨日颯太から聞いたなら知ってるでしょ?」




真顔で直生はそう口説き文句を吐く。




「何を言ってるんですか。


本気じゃないでしょ?」

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