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starting grid

第2章 ~クラッシュ~

 フリー走行一日目、二日目と順調に過ぎていき、


土曜日の午後、予選の最中、降るのか降らないのか微妙な空模様を眺め、


直生は溜息をこぼした。




「…降るなら、降ればいいのに。」




「準備しろよ、チャンピオンっ!」




「はいはい。わかりましたよ、監督。」




挨拶程度にそう返しながら、直生は無線をつけつつ、慎重にメットをかぶる。



そうして、傍らのレーシングカーのコクピットに身を沈めた。



タイムが早い順に十六位以内に入ることが条件で、次の予選に進むことができる。



そうして、二回目の予選にて、十位以上に入れば、最終の予選に進めるのだ。



現在、最終予選の最中である。




「最前列、とってこいよ!」




「わかってるよー。」




そういい残し、直生はサーキットへと侵入してゆく。



ピットレーンからスタートグリッドまで


タイヤを温めるようにゆっくりと走行していたかと思うと


直生は徐々にスピードを上げてゆく。


そうして、1コーナーに侵入していった。



順調にタイムを刻む中、


コース中盤の高速コーナー「カンプサ」にて、


前方を横切る一つの人影に気づいた。




「げっ! 冗談だろ?」




思わずそう呟き、


直生はシフトダウンすると、左側にステアリングを切った。



直後、風に煽られコントロールを失ったマシンは一回転し、


コースの端の壁に勢いよく激突した。




「…ってぇ。」



壁に激突した瞬間、左脇腹に激痛を感じた。


思わず声を漏らすと、無線から凜の声がした。




『直生っ! 生きてるか?』




「一応な。肋骨、やっちまったかな。多分…。」



そう返しつつ、直生はステアリングをはずすと、


近づいてきたマーシャルに引き出された。

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