テキストサイズ

starting grid

第7章 ~堕ちる彼女~

「じゃあ、今年二連覇しちゃったら辞めちゃうんですか?


 ……直生さん。」



「さぁ……? 分からないわ。


……でも、辞めるつもりかもね。


本当にオーバーワーク気味だし、


直生って何でも全力で取り掛からないと気がすまないタイプでね、


レースは命掛けだから勿論全力で取り掛かるし、


社長職も就いたからにはって海外からでもスカイプで会議には参加してるし。


恋愛も本気で堕ちると怖いくらいのめり込んじゃうのよね。」



呆れたようにそう言いつつ、栞は花音に再び口を開く。



「直生のこと、気になる?」



突然、質問され……花音は戸惑った。



「え……?」



「直生の様子見てると、花音ちゃんに本気だと思うわよ?」



直生は独占欲が強い。


暇があれば、花音の元へ通い


……ひたすら花音を連れ回す。


そうして、花音を抱き寄せて眠りにつく。


……それでも、直生はあの一夜以来、


花音にキス以上のことはしてこなかった。


怪我のためなのか、それとも強引に抱かない主義なのか……


花音には分からなかった。



「だから、余計な事言うなって言ってるじゃん。


栞、ちょっとお喋りしすぎ。」



仕事を終えたらしい直生がいつの間にか近づいてきていた。



「いいじゃない、別に。


私だって、周り男だらけなんだから


可愛らしい女の子と話をしたいのよ?」



「野郎ばっかりで悪かったな。


大体、栞が選んだんだろ? 


凜と一緒がいいなんて、言ってたくせに。」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ