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第7章 ~堕ちる彼女~

大学を卒業してすぐに


栞は直生の所属するインディカーのレーシングチームに参加した。


既に凜は直生と共にレーシングチームに参加していたから、


凜の傍にいたいがために


彼女は空きのあるシステムエンジニアの座に着いたのだった。



「あら…、誰が設計したマシンで勝てたのよ?


私を雇って良かったでしょ?


稜賀社長。」



にこやかに笑みを浮かべ、そう嫌味を口にしてくる栞に、


直生は嘆息をこぼす。
「はいはい。お陰で助かってるよ、栞。」



最早、反論する気にもなれず、


直生は挨拶程度にそう返しつつ、


花音の隣に座り込む。



「花音、質問があるなら受け付けるよ?


栞の言う事は、結構大げさだからさ。」



穏やかに彼女を見つめ、そう言うと…


花音は躊躇いがちに聞いてきた。



「直生さん、私すごく気になる事があるんですけど。」



「うん、何?」



「あの…、どうしてキス以上のことしてこないんですか?」



花音の大胆な質問に、直生は瞳を瞠った。


そうして、動揺しつつ直生は問い返す。



「え……? 


キス以上、していいの?」



(……しましたよね? 一度だけ。)



直生の台詞に


花音は胸中でそう突っ込みつつ


控えめに首をふった。

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