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第8章 ~彼女の本心~

そんなことを繰り返し、


あっという間にフリー走行当日がやってきた。



「怪我の具合はどうだ?」



「言いつけどおり、安静にしてたからな。


骨も一応…くっついた。」



左脇腹を抑え直生はそう返すと、凜に問い返す。



「フリー走行、俺が走れないと思ってただろ?」



「走るつもりかよ。…懲りないな。


また、折れても知らねぇぞ。」



呆れたようにそういってくる凜に、


直生は余裕の笑みをこぼした。



「高速サーキットならまだしも、


このコースでそんなにGはかからねぇよ。


大丈夫だって。


走ってもいいって、許可貰ったし。」



「だったら、いいんだけど。


あの週刊誌の騒ぎから初めてのGPだから、


気をつけて行動してくれよ?」



「分かってるよ。」
釘をさしてきた凜に直生は殊勝にそう返す。



そうして直生は花音の様子みてくると言い残し、凜に手を振った。



「全然、分かってないじゃないかよ…。」



直生の後姿に、凜はそうぽつりとこぼす。


そうして、胸中で呟いた。



(珍しく本気か…なら、放っておいても大丈夫かな。)



直生は本気でなく遊びなら、


週刊誌に撮られた時点で放っておいたはずだ。


それを花音本人に自分で説明に赴き、


尚且つワザとなのか朝帰りの二ショットまで週刊誌に提供して見せた。


今GPのモナコ公国でのモンテカルロ市街地コースは、


日本人観光客が最も多く人気のコースだ。


芸能ニュースを賑わせている話題だけに、


芸能レポーターたちも大勢入国している。

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