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第8章 ~彼女の本心~

「え……、どうしたの?


花音からそんなこと言うなんて初めてだよな。」



戸惑ったようにそう返した直生に、花音は頬を染めて俯いた。


そうして、問う。



「ダメですか?」



「もちろん、花音ならいつでも大歓迎だよ?


GP中だから、あんまり時間ないけど……


ディナー一緒にしようか?」



「はいっ。」



直生の思わぬ誘いに花音は即答していた。



そんな花音に、直生は「待ってる。」そういい残し、


ピットへと歩を進めていった。





 フリー走行が終わってから、


約束どおりピットへと足を運ぶと、


直生は既に着替えたらしく



いつものカジュアルな服装に身を包んでいた。



「花音、仕事終わった?


今日はどうしようか?


何か食べたいものある?」



「……あ、久しぶりに日本食食べたいんですけど。」



遠慮がちにそう言ってみると、


直生は穏やかに笑んだ。



「ん、OK。日本料理屋ね。


美味しいとこあるよ。


いこっか。」



直生の頭は一体どうなっているのか、


大体花音がリクエストをすると、



何かを調べるわけでもなく少し考えた後、



正確に店に案内してくれる。



「直生さんって、全部の店覚えてるんですか?」



「うん、覚えてるよ?


結構GP長いからね。


ずっとパドックで食事は飽きちゃうし。


夜は殆ど外食なんだ、俺。」



至極当然のようにそう返してきた直生に、花音は思わず呟く。



「栄養、偏りそう。」

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