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~夢の底─

第2章 扉のなかの渚─。

「大丈夫だから。おやすみ」「ユノ」生乾きの髪からタオルを取った。「ドライヤー、持って来ますよ、ちゃんと乾かさないと」「いつもこのぐらいで寝ちゃうよ」髪の毛に指をくぐらせ、「あ、やっと寝られる。嬉しい」モソモソと、シーツに這い込む。「チャンミン、シーツも替えてくれたんだ。ありがと…今夜よく眠れ…」くぐもり声でベッドの中から云うユノの体にのり、「シーツ、乾燥機に入ってます」肩の辺りを探り、脚と脚を交わそうとした。
 「チャンミン、眠く…ない?」下から、淡い洗剤の匂いのするシーツを掻き分けるように、手を差し出してくる。「ユノ。今夜は、こうさせて」 ─軽く目を閉じると、かすかに頷く。……「俺に優しくていつも─練習生も、海に連れてって…」眠たげに、呟く。「後輩の、良い先輩で─兄さんだな…」額を腕の盛り上がった筋肉に、擦りつけるようにしていたチャンミンの動きが止まる。
 (弟…)「チャンミン? ─」(…弟、ですよ─)「どう─した…」不安そうにユノが覗き込むと、黙って、顔をそむけた。「チャンミン、…どうした。気分悪いか」黙って顔をあつい胸に埋める。「─疲れた、か? お前も、眠いんだろ…?」半分、寝言のようにユノが呟く。

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