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~夢の底─

第2章 扉のなかの渚─。

 ─寒さが皮膚を撫でてゆく。「冷えるし、入ろうか」「朝まで見たら、星の動くのも分かるでしょうけど─、凍えそう」 腰を上げ、二人はバンガローの灯に向かった。



 「ア。…」思わず声を出してしまった口を、あわてて手で押さえた。
 ─そっと、うかがうと隣の静かな寝息が聴こえる。そのまま、寝息を聴いていた。
 昼間の長い運転に疲れたのだろうか、薄茶いろの髪の毛を枕に乱し、こんこんとヒースは眠っている。
 チャンミンが何気なく見上げた天井の明かり取りの窓を、流星が掠めたのも勿論気づかない。
(教えてあげたら、喜んだよね)傍らを見やる。 (…弟…)─不意にユノの顔が浮かんだ。自分の胸に呆気なく崩れたユノ…。(─あれは…先月の午後、だった)自室で机にスケジュール表やステージの構成のスケッチを広げ、見入っていたユノ…。「事務所で打ち合わせ、しなくていいんですか」久しぶりにユノの自室に入り、そう訊くと、「今日は、自分の部屋で」照れた笑顔になり、「お前が、いるから」はにかんで、書類に向いた…。黙って隣の椅子にかけると、「あのさ、ここね、いつもと変えて─」 寄せてきた身体の肩に手をおいた。「ありきたりじゃ、ファンも俺らもノレないから」

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