~夢の底─
第2章 扉のなかの渚─。
「─あ、だからチャンミン─」語尾は溜め息になり消える。─両手の動かしはそのままに、「だから…? ライブは結局、演出ですよね…?」俯きがちになったユノの顔に口を寄せた。「壊したいんです。─僕たち…二人のスタイルも方法論もね」額を胸に擦りつける様は、乳をさぐる猛獣の仔を思わす─ユノ。小刻みに揺れる髪の先をしばらく眺め、「一部公演の…、演出なら出来そうですね、─特別ライブにもなる…」意味も無く、ユノは首を振る。
触れている体は充分に熱いのに、冷たい風の丘に一人佇んでいるような…息を切らしながらもユノが縋りついてくる胸の奥は、芯から、冷えている。
チラリと白々しいスタンドの光を受けている、書類を見て自分の両腕にも縋りつく手を見た。両手の指に次第に力が加えられ、腕が痛いぐらいだった。
口を開こうとすると、チャンミンの胸に顔を押しつけ、苛立った仕草で、さらに腕を掴んだ。「ステージ演出のこと─いいんですか」……
─呻くのはチャンミンの方だった。「痛い…。ユノ、腕が」それに答える代わりなのか、手首がつかまれた。(ユ…ノ) 胸に倒れ込む身体。─手首に、加えられた力は疾うに抜け落ちている。
触れている体は充分に熱いのに、冷たい風の丘に一人佇んでいるような…息を切らしながらもユノが縋りついてくる胸の奥は、芯から、冷えている。
チラリと白々しいスタンドの光を受けている、書類を見て自分の両腕にも縋りつく手を見た。両手の指に次第に力が加えられ、腕が痛いぐらいだった。
口を開こうとすると、チャンミンの胸に顔を押しつけ、苛立った仕草で、さらに腕を掴んだ。「ステージ演出のこと─いいんですか」……
─呻くのはチャンミンの方だった。「痛い…。ユノ、腕が」それに答える代わりなのか、手首がつかまれた。(ユ…ノ) 胸に倒れ込む身体。─手首に、加えられた力は疾うに抜け落ちている。