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……入り口扉に雨粒が当たる乾いた音がする。イタズラな小鬼が、砂利でも投げつけている…そんな感じの音だった。
　「けっこう濡れた…。帰ってきてよかった」「シャワー、浴びたほうが」云い終わらないうちに、雷鳴がバンガローの中にまで、響く。「チャンミンさんを、大変なところに連れて来ちゃった…」ふっ─と、チャンミンが笑みを浮かべ、ヒースをみる。
　「僕ら二人で」「はい」「どこか行こうとすると」雷鳴が轟く。「こういう、ハプニングね─」外の雨音も大きくなる。「はい。こうなる前に帰れて、よかったです」濡れて、濃い色の黄金になった髪を絞る仕草でつかむチャンミンを見上げ、「シャワー浴びてください」「ヒィスは…」ネイビーが雨の粒の染みで、黒く変わったTシャツを裾から捲り上げて訊く。　「あ…」バンガローの中、狭い空間が急な赤に染まり、金属音が足元を揺らがすほどに響いた。
　白いペンキの塗られたバンガロー…壁板は薄く、頼りない。二人はベッドの床に身を同時に、屈めていた。また、天井のあたり、窓の外からの異様な赤みに染まる。