~夢の底─
第3章 ─秋が、燃える。
……明るい青い秋の日差しが、マンションの中に奥深く入り込んでいる。
「あのいいよ。─すぐ出るから」灰トレーナーに付けた黄色エプロンが、少女めいた格好だった。「お忙しいですよね」ヒースはエプロンを取り、ユノと向かい合ってソファに座り、「─どうぞ」温かい紅茶をポットから注ぎ、ユノにすすめる。「有難う、ファイルもあってよかった」黒テーブルは細長い。傍らに分厚いファイルがある。
「はい。──」「ホテルは高いしバイトが終わるまで泊まったら、いいよ」「アパートは引き払ったし、香港に帰ろうとしたらバイト先で引き留められて─」「そう。でもチャンミンに甘えていいんだから」「はい」カップを脇に置き、「これね。俺とチャンミンの気持ち」白の包みを真ん中に出す。「ご両親、お大事に…ね」目を見張るヒースに「…こんな風にしか何も出来ない。やめた今になって申し訳ない」「そんな、ぼくのほうこそ─でも─、…はい…有難うございます」頭を下げた。
「お茶をごちそうさま。ファイル見つけてくれて…有難う」立ち上がると玄関に行きかけ、チャイム音に立ち止まる。
「ユノ。ファイルありました?」黒革ハーフコートのチャンミンが、顔を出す。
「あのいいよ。─すぐ出るから」灰トレーナーに付けた黄色エプロンが、少女めいた格好だった。「お忙しいですよね」ヒースはエプロンを取り、ユノと向かい合ってソファに座り、「─どうぞ」温かい紅茶をポットから注ぎ、ユノにすすめる。「有難う、ファイルもあってよかった」黒テーブルは細長い。傍らに分厚いファイルがある。
「はい。──」「ホテルは高いしバイトが終わるまで泊まったら、いいよ」「アパートは引き払ったし、香港に帰ろうとしたらバイト先で引き留められて─」「そう。でもチャンミンに甘えていいんだから」「はい」カップを脇に置き、「これね。俺とチャンミンの気持ち」白の包みを真ん中に出す。「ご両親、お大事に…ね」目を見張るヒースに「…こんな風にしか何も出来ない。やめた今になって申し訳ない」「そんな、ぼくのほうこそ─でも─、…はい…有難うございます」頭を下げた。
「お茶をごちそうさま。ファイル見つけてくれて…有難う」立ち上がると玄関に行きかけ、チャイム音に立ち止まる。
「ユノ。ファイルありました?」黒革ハーフコートのチャンミンが、顔を出す。