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~夢の底─

第3章 ─秋が、燃える。

 「うん、彼が探してくれた…」「チャンミン、─さん」微笑む顔に、「あの、お気持ち、有難うございます。今、ユノ─ユンホ先輩から頂戴しました」「気持ち─」怪訝な声と、微笑が白い包みに強張った。「お気遣い、うれしいです」「親孝行の─お金だよ」少しまた笑みを見せ、「今夜遅いんだ、先寝て。食事もいいよ」「はい。ぼくも今晩はバイトです」「気をつけてね─ユノ急ぎましょう」声をユノに投げかけ、先に外に出る。

 

 「ユノ、そんな─に?」リビングのソファの脇に立ったまま云う。
「そう─かな、…でも、さ」不満いっぱいの顔つきのチャンミンを見上げ「お金ぐらいしか、渡せない、お前と俺の気持ちだから」ソッポを向き、黙ったチャンミンに「金額の相談はしなかったけれど、ふたりの気持ち渡そうって話したし…いい機会だから」下を向き、「もっといろんなこと…出来たら、いい」「帰ります」唐突に云った。
 「え? 今夜は泊まるんだろ…?」答えずに、ドアを通り抜ける。「─チャンミン?」無言で出て行こうとする。「チャンミン、何が気にいらない?」声が背中を追う。「帰ります」怒鳴り声で云った。「チャンミン」ユノの呼び掛けを断つように、マンションの扉が閉じられる。

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