~夢の底─
第3章 ─秋が、燃える。
「ぼくの勝ちです」ニッコリした。「強いね」花札の絵柄が、間接照明のライトに眩しい。「アルバイト、新しい人がくる?」牡丹の絵札を手に訊く。「週末に揃うそうです」紅葉の札を取り上げ、答えた。「それじゃ、バイトも終わるんだね」「だから、来週…帰ります」「帰る前に、ふたりで食事しよう」いっとき、互いに、沈黙する。 ……「はい─」また黙りがちの二人に、なる。
「いつでも、電話して」「はい」─オーディオとTVだけが置かれた部屋を見回して、「きれいに片づけてくれて─」黙って、チャンミンを見る。「食事の用意も、嬉しかった」俯きがちになった。「さみしくなるよ」「チャンミンさん」「…兄さんて、呼んでくれて─」「兄さん。じゃどうして、ユノ先輩と一緒に暮らさないんですか」口を閉ざした。
「ぼくは帰りたくない、─なのに…」唇を噛みながら横を向く。「─寝みましょう。余計なことを…ぼく」云い終わらせなかった。抱きすくめ、淡い色の絨毯に二人の体は転がった。「何…を」塞ぐ唇が離されると、ヒースが怒りの籠った声を出した。「何をする気です」チャンミンを下から、睨んだ。「どいて、離れて」叫ぶように云った。
「いつでも、電話して」「はい」─オーディオとTVだけが置かれた部屋を見回して、「きれいに片づけてくれて─」黙って、チャンミンを見る。「食事の用意も、嬉しかった」俯きがちになった。「さみしくなるよ」「チャンミンさん」「…兄さんて、呼んでくれて─」「兄さん。じゃどうして、ユノ先輩と一緒に暮らさないんですか」口を閉ざした。
「ぼくは帰りたくない、─なのに…」唇を噛みながら横を向く。「─寝みましょう。余計なことを…ぼく」云い終わらせなかった。抱きすくめ、淡い色の絨毯に二人の体は転がった。「何…を」塞ぐ唇が離されると、ヒースが怒りの籠った声を出した。「何をする気です」チャンミンを下から、睨んだ。「どいて、離れて」叫ぶように云った。