~夢の底─
第7章 晩夏風──
……「最後の夜に─僕のマンションで君に身勝手したのね─」顔を下にを向けたままで、「悔しくて」ヒースがチャンミンの横顔を見て、首をかたむける。「悔しい…自分に…ね」
─また思い出したように吹いてきた微かな風が、チャンミンのシャツの臙脂の衿を蝶の羽に似た、はためきをさせる。
「兄さんて呼んでくれて─二人で遊んで話しもして─なのに…」漸く顔を上げ、「何もしてやれない」今度は顔を背けて、「悔しい、けど…。お金、せめて二人の気持ち、君に渡そう…って。出来ること、それだけなのに…。そのことでも─ユノに当たり散らしたりして…」首を軽く振りやり、「帰りたくないって云ったよね…? …僕も帰したくなかった。…どうにかしたいと思って、そのままの感情ぶつけちゃった…それで、あんな無躾─君に…。不甲斐ないね。まだ云いわけなんかして……ね」おもてを俯かせ、目のあたりを、こする。
「心底、後悔してる…。─嫌な思いさせて…、僕が全部悪い。すまなくって…君に、今も─」「チャンミンさん。わざわざ謝りにここまで来てくれて、お礼いいます」
にこりとした─乾いた色の爪の指先が風に、さわさわと揺れる髪をおさえる。
─また思い出したように吹いてきた微かな風が、チャンミンのシャツの臙脂の衿を蝶の羽に似た、はためきをさせる。
「兄さんて呼んでくれて─二人で遊んで話しもして─なのに…」漸く顔を上げ、「何もしてやれない」今度は顔を背けて、「悔しい、けど…。お金、せめて二人の気持ち、君に渡そう…って。出来ること、それだけなのに…。そのことでも─ユノに当たり散らしたりして…」首を軽く振りやり、「帰りたくないって云ったよね…? …僕も帰したくなかった。…どうにかしたいと思って、そのままの感情ぶつけちゃった…それで、あんな無躾─君に…。不甲斐ないね。まだ云いわけなんかして……ね」おもてを俯かせ、目のあたりを、こする。
「心底、後悔してる…。─嫌な思いさせて…、僕が全部悪い。すまなくって…君に、今も─」「チャンミンさん。わざわざ謝りにここまで来てくれて、お礼いいます」
にこりとした─乾いた色の爪の指先が風に、さわさわと揺れる髪をおさえる。