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~夢の底─

第7章 晩夏風──

 「自分が悪いと思ったら謝る。それって当たり前だよ」「当たり前。それ1番難しいことでしょう、出来ない人多いですよ。過ち認められない人だっている…」チャンミンが黙り、二人の間の沈黙を風が静かに撫でながら、吹き過ぎて行った。
 「あ…の…、ユノ先輩…はお元気、ですか…」痩せて尖りぎみになった頬に柔らかな色が瞬間、浮き出た。「─元気なんだけどね。あ、冬の終わりに風邪で仕事休んだりしたけど…最近は事務所と毎日、話し合いしてる」「何か、新しい企画ですか」チャンミンが首を振り、「芸能ニュースにもなったけど、知らない?」「TV見てないので…」「ネットニュースも記事出してね、ユノ休業したいって、云うんだ─」「どうして? 急に…なんですか─?」「…これからや…、いろんなこと、仕事のこと…考えたいって。僕はユノのしたいようになったらいいと思ってる」
 ふっと、後ろに振り向いたヒースが、独り言を呟くように、「あちらの小母さん。ボランティアでこの近くの教会にみえる方なんですけど、ユノ先輩のご紹介なんです。帰る前日にお会いした時に、ぼくに教えてくれました…、お陰でとても助かってるってチャンミンさん。ユノ先輩にお伝えください」

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