
青い桜は何を願う
第2章 出逢いは突然のハプニング
「実は、第二創世会が聖書の中で崇めている「花の聖女」は、実存しているのです。現代の平成の世に、ね。おいたわしい、彼女は穢れた世界に産み落とされて、ご自分をただの人間だと信じ込み、どこかで平凡に暮らしています。私達は、「花の聖女」を見つけ出せば救われます。地位も名誉も、不老不死も、望めば全て授かることが可能になります」
「何っ……ですと?!」
「しかし、困ったことが起きております。花の聖女の捜索のための特別捜査隊、聖花隊は、主に二十代までの若者から構成された頭脳も運動能力も申し分ない団体ですが、どうも、最近、彼らを邪魔する動きがあります。おそらく、かつて花の聖女を守護していた者達です」
「何と……」
「そこでです。もし、貴方がたの知人の中に、聖花隊の隊員として思い当たる適任がいらっしゃるのであれば、我々に推薦していただきたい。我々には戦力が必要なのです。貴方がたは、そして今後も、華天(はなぞら)党の銀月義満様にご支援を……。あの方が時期首相になれば、第二創世会に属する貴女がたは無論、世の皆様に、最高の生活をお約束します」
「……──っ」
靴箱の上にある赤いデジタル時計が、正午過ぎを示していた。
引き戸の外は相変わらず薄暗い。ただ、月明かりに似た街灯の光だけが、老夫婦と孫息子、そして一条次成を照らしていた。
