
3年後の君へ
第1章 第1話 3年前
いやだ
いやだ
いやだ‼
怖い…怖いよ
誰か助けて…助けて…
母さんっ!
ガチャ
「おーい、帰ったぞ?皐月~?」
下から親父の声が聞こえて、皐月さんが慌てて服を着て玄関に向かう。
「残念~続きはまた今度ね?」
そう言い残して。
はぁー、助かった。つかせめて部屋掃除してけよ…
他人がヤった後とか、いくら自分の部屋でも気持ち悪くなる。
ベッドなんて、触りたくもない。
この場所から一刻も早く出て行きたくて、制服のまま外に飛び出した。
「あれ彰人いたのか?ってどこ行くんだ!おいっ‼」
家の中から親父の怒鳴り声が聞こえてきたけど、無視してただ夜の暗い道を走り続ける。
俺のすんでいるこの田舎には、街灯なんてほとんどなくて、しばらくするとほぼ真っ暗だ。
はぁ、はぁっ
どんだけ走ったんだろ。けっこうな距離走った気がするけど…
しばらくして、街灯がある公園を見つけてベンチに腰を降ろす。
家から離れたおかげか、さっきよりも気持ちが落ち着いている。
「もぅあんな家戻りたくねぇっ…」
