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3年後の君へ

第1章 第1話 3年前


「…何かあったの?」


下を向いている俺の顔を覗き込むように、優しい声で彼女は聞いてきた。



「お姉さんには関係ねぇーよ」


自分の弱い所を見せたくなくて、つい強がってしまう。

本当は弱いくせに…


「そっか。


でもさ、関係ない私になら別に何話しても大丈夫なんじゃない?」



…?


「は?」



何言ってるんだ?



「だからー、私なんかに何話したところで君にとってマイナスになる事は無いよね?ってこと!


まぁ、もしかしたらプラスになる事はあるかもだけど笑」



なるほど。


確かに赤の他人のこの人に、俺が愚痴っても減るもんなんてねぇよな。


でも、



「なんで、そんな事言ってくれんの?

こんな誰かもわかんないガキに」



彼女は一瞬きょとんとしてから、すぐに優しい表情に戻り、俺の頭にトンっと手をおいた。


「ガキだからだよ笑」


そう言ってまたニコッと笑う。




…ポタッ



あれ?俺泣いてる?


自分でもよくわからないけど、涙が自然と俺の頬をつたって流れ落ちる。


ぽんぽんっと彼女が、小さい子をあやすように俺の頭を撫でる。


何で自分が泣いてんのか、本当にわかんねぇけど



たぶん



「どぉ?プラスに賭けてみる?」



彼女の笑顔を見て、凄く安心したんだと思う。







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