二面性*マクガフィン
第2章 学園クーデター
コツコツコツ…
ニノの足音が響き…… 止まる。
潤の前に…女から少し離れた場所に立った。
……………………
沈黙という名の空気が流れる。
ニノ…ではなく、最初に口を開いたのは女だった。
ただ顔を、視線を、手摺の向こう…、学園の外の遠い方に向けた。
「ここ…いいところね……」
落ち着いた声。
「風が気持ちいし、街の遠くまで景色として見渡すことができる…」
息を吐きながらの言葉を発して花を生ける。
様子を伺っていたのかニノ、
「あなた…誰ですか?」
腕を組んで女を見る。
……………………
今、この時間は放課後。日の光が女の背後から顔を出すようにみえた。
空の青と光の赤、黄色の中に紛れているかのように、そこに存在する女……
「ん〜?何かしら」
手元は動き続ける。
「申し訳ないけど、よく聞こえなかったわ…もう1回言ってくれない…?」
あからさまに聞こえているだろうニノの言葉をスルー。
挑発なのだろうか。
そんな女の態度を見て、後ろの方々はムッと先程の潤みたいになりかけているが…
「……………………」
この人には全く効かない。動じなかった。
ただ、女をジーっと見つめるだけ…。