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二面性*マクガフィン

第3章 学年1位のエリート


「………………」

女は彼の視線を受け取ると、手を下ろし、反応がつまんないと思っているような顔色に変わる。



「………まあ…いいわ」


スッ… 音をなるべく立てずに降り立つ。

すると、翔の目線が自然に斜め上から斜め下になった。



「…………で、何の用?」

先程とは全く違った声のトーン。

女の鋭いような視線。


翔は息を飲んで慎重に、

「…………お前のさっ…」


「さっきのキス?」

「!?」

反射的に息を飲んだ。


……………侮れない、油断できない相手だ。


自信があるような迷いのない言葉、正解の言葉で。

翔に攻めを入れてくる。

何もかも、お見通しなのだろうか…。


本当に、慎重にいかなければ…



「……………だったら…」

心臓がどきりとなる…

「……どうする?」


女は、翔が伺っているように同じく、翔の様子を伺うような目線を見せた。


そして、腕を組み、

「別に…なんとも思わないわよ?」

淡々と、答えを返すのが早かった。


翔は立ってるのが疲れてきたのか、足の重心を左から右に変えた。

また、それと同時にチャイムの音でかき消されていた風が完全におさまり………

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