二面性*マクガフィン
第3章 学年1位のエリート
ドクンッ__
心臓が大きく跳ねた。
なぜかは分からなかった。
彼女の熱い視線が、翔の瞳に映る。
逸らさず……
じーっと…
心が揺らめく。
彼女の腰にまわしていた腕が緩くなる。
でも、表情には出さない。
ただ単に…彼女のことを…
「フフッ…」
女の口元が動いた。
「動揺してるでしょ…」
ドクンッ___
先程より大きく心臓が跳ねる。
読まれてる。
この女…不思議だ。
余裕のある微笑みがどんな意味をするのか…
考えれば考えるほど、頭を抱えてしまいそうだ。
しかし、その動揺を表に出してはいけない。
バレたとしても…出したくない。
なぜなら…
「フフッ…まあいいわ…」
何を考えてるのか…分からないから。
「教えてあげる…」
「………………」
そう言うと女は首にかけてた腕を下ろした。
音を立てずにスゥッ…と。
空いた首元に風が当たり、一気に首だけが寒くなる。
教えてくれるということで、
耳と目を女に向け、見つめ合う状態。
2人とも逸らさずに…ジーっと…。
そして…
「邪魔がいなくなったらね」