二面性*マクガフィン
第3章 学年1位のエリート
翔の防御の表情が一気に緩くなったのに女が気付くと、
「まあ、いいわ…」
遊んでいた手を止めた。
「でも、探偵ごっこはもう終わり……またすぐ…お話しましょう…」
真央は手を開いた。掴まれていた万年筆が落ちていく…。そして、
「では…」
彼女のその言葉と同時に、
グシャッ_
足を下ろして壊した。
「………………」
翔の頭の中、理解はしているが混乱していた。
静寂な空間となりゆく前に、女が口を開く。
「あなたも凄いわ…こんなのに気が付かないもの」
盗聴器を見てみると、万年筆だから壊れなさそうに見えるが、見事に壊れているように見えた。
「今までも…こんな風に盗聴されてたのかしらね…」
さっき、考えてたことが女の言葉で蘇った。
翔は大きく息を吐いた。
色々と考えたいことはある。でも、今は…
「……話を戻そうか」
女に視線を戻した。
「あら?」
一瞬、きょとんとした表情になった。が、すぐ戻る。
「話って…何だったかしら?」
一瞬の顔は、大切な友に盗聴されていることを知って、まだ気が落ちているだろうと思っていたからなのだろうか。
いや、確かにそうだった。でも…
翔の顔つきが変わった。
今、そんなことは置いておいておこう…
女はクスリと微笑んだ。
「冗談よ、冗談…」
本題に戻った。