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embrasse-moi

第3章 今日は遅い私と、

2ヶ月くらい前からだろうか。


渚は顔も分からない男性とメールをしている。


分かっている情報は彼が男性だということ、渚と同じ24歳だということ、これまた私と同じ都内在住だということ。


そして、彼の下の名前が「良太(りょうた)」だということ。


彼と渚はどこか似ているところがあるらしく、意気投合するのに時間はかからなかった。


渚には珍しく気を使わずに自分をさらけだせる異性だったし、彼も彼でやましい気持ちは一切無く純粋にメールを楽しんでいるらしい。


もしかしたら異性として見られいないかも、という不安はあるが。




最近は家に帰るとパソコンの前に座り時間の限り彼とメールをしている。


彼の仕事は帰宅時間が早いらしく、
渚が家に帰ると大抵は彼からおつかれメールが来ている。


だから、なるべく早く返信しておきたいんだけど…




この雰囲気では抜け出せない。


歓迎会は大盛り上がりで、今渚が抜けたら確実に場がしらける。


_私を誘ってくれた子とも席が離れちゃったし。


どうしよう…




「みんなー注目ー!
今から、新入社員さん達に1人ずつあいさつしていただきまーす!」


酔った先輩の提案にさらに盛り上がる。



ダメだ、こりゃ。

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