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embrasse-moi

第3章 今日は遅い私と、

横1列に並んだ新入社員。
今年は少ないわねー、なんて他人事だ。


しかし、1人ずつあいさつをする中で、一際目を惹く人がいた。


「営業の内田 孝斗(うちだ たかと)です。先輩に負けないように頑張ります!」


可愛らしいという表現が合っているだろう顔にふわふわな髪、童顔なわりに長身。


そして、爽やかな笑顔。




これは、先輩方の大好物じゃない?



思った通り先輩方は完全に「狩り」のモードだ。



新入社員のあいさつが大体終わると、先輩方は一斉に内田を囲んだ。


「可愛い顔だねー」「思たより背高いんだねえ」「好きな女性のタイプとかあるー?」「彼女はいるの?」



その質問1つ1つに丁寧に答える内田。




あらー…そんな対応したら、もっと気に入られちゃうよ?



まあ、私は関係ないか。



渚はジョキに入っていたビールを飲み干し、つくねに手を伸ばす。



「…あっ」


渚が食べようとした残り1本のつくねは男性特有のゴツゴツした手が先に持っていった。

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