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土砂降り

第8章 8

「健人っ、まってよ。」
ゴロゴロ転がってる石に足を取られて歩きづらい。

健人はもたもたする僕の所まで戻ってきて腕を掴んでくれる。
「誰もいないんだから、御主人様だろ?にゃーもつけろよ。」

ぐいって腕をひかれて階段を登らされる。

「御主人様。おんぶして欲しいにゃ。歩きづらいにゃ」

だらだら歩きながらワガママを言う。

「もうすぐそこだろ。」
健人が横目で睨んでくる。

「疲れたにゃー。歩きたくないにゃー。」
別にこのぐらいで疲れたりしないけど。

「うるせぇな。ワガママばっかいいやがって。躾がなってねぇ」
そう言って、俵を肩に担ぐみたいに担がれる。

落ちないように健人のTシャツを掴んだ。

境内までつくと、健人は僕を担いだまま賽銭を入れて、手を合わせる。
なんとなく僕も手を合わせておいた。と言ってもお尻を向けて賽銭も入れずに手を合わせても、なんの効果もないだろうけどね。

そのまま何故か健人は境内の裏へまわって僕を座らせた。

「ここで隠れんぼしたの覚えてねぇか?」

かくれんぼ?
「あー、どんぐり拾ったりしたかも。隠れんぼしたね。ここだったんだ。全然こないから忘れてた。」

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