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土砂降り

第10章 10

「物は揃ってるのに殺風景な部屋だね。」

冷蔵庫の中を漁る赤岩の背中に話しかける。

「慣れると落ち着くよ?片付けは家政婦さんがしてくれるからいつもこの形なんだよ。
人がいないから仕事が少ないのかもね。
この部屋以外殆ど使われてないし。」

飲むヨーグルトの蓋を開けながらベッドに腰掛ける。
飲むヨーグルト。意外だ。

「冷蔵庫の中もいつも足し続けてくれるから、キッチンとか行く必要ないんだよね。
飲み物、自分でとってね。」

冷蔵庫のドアが開けっ放しなので、閉めるついでに炭酸水を貰うことにした。

「へー意外だ。炭酸水なんて味しないし、なおやのイメージじゃないな。」

「そぅ?僕は結構好きだよ。刺激の強いもの好きなんだよね。辛いものとか。甘い物も好きだけどね。」

プシュッと炭酸の抜ける音が好きだったりする。
喉に流し込む。この刺激が良いんだよねー。

「お互いの事殆ど知らないもんだね。
何処が感じるかは知ってるけど、好きな食べ物すら知らなかったね。」

「んっ?そ、うだね。赤岩の事を知ると楽しい、というか嬉しいよ。意外な事が多くて新鮮でドキドキする」

感じるとか、あんまり言わないでほしい。
誤魔化し方、下手だったかな。

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