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土砂降り

第15章 15

広瀬さんは喋るのが上手で喫茶店でのお喋りは飽きることがなかった。

聞いた所によると、大学生の教育学部で高校に教育実習に行った事もあるらしい。

今日は夏休みで友達と遊ぶはずが友達が急に来れなくなったから、どうしようかと考えていた所だったらしい。

そこに僕が通り掛かってナンパしたと。

「なおくんが歩いてきた時、目が釘付けになったよ。この暑さの中、一人だけそんなの気になんないって感じで涼しげに歩いててさ。おまけにこんなに綺麗な顔立ちしてるからキラキラしてて目が離せなかったよ。」

目が離せなくて、男をナンパ。
教育者を目指すものが随分と軽はずみな行動をとるな。
まぁ僕には関係ないけど。

「ご馳走様でした。暑いからあんまり歩きたくないんですけど、どこ行きますか?」

「この暑さだもんね。近くにホテル街あるからそこで休もうか。」

キラキラして目が離せなかった男子高校生をナンパして昼間からホテルに連れ込むのか。

休もうかって言うけど休むどころか食後のスポーツ開始の予感しかしないけどね。

「分かりました。それで良いです。」

広瀬さんが伝票をもって立ち上がるので、その後を少し間を空けてノロノロとついていった。

僕がレジに行く頃に丁度お会計が終わったらしく、行こうか。と、ドアを空けてエスコートしてくれる。

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