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土砂降り

第16章 16

「なんで準備してないんですか!六時って言いましたよね!?」

「準備出来てるよ。浴衣は暑いからやめたの。」

夏祭りに行くために渋い青色の浴衣を着た千葉くんは、大きな声で小言を言いながらバタバタと僕の周りを動き回る。

「これ羽織って、逆です。それだと死装束ですよ。だらだらしないで!」

「んー。千葉くん浴衣似合ってるね。なんかエッチな空気がでてるけど。」

色気ってやつかなぁ。和服マジック恐るべし。

「腕あげててください。帯きつくないですよね?ぐねぐねしないでくださいよ、ちゃんと立って。」

そんな事言われても、千葉くんが身体を揺さぶるからどうしてもフラフラしてしまう。

「よし。ってもう、すっかり真っ暗ですよ。行きましょう?」

「あい。」

全部の準備をしてもらって家の鍵まで千葉くんが閉めてくれる。

しっかりしてるなぁ。

「緑の浴衣、いいですね。尚也くんによく似合ってます。肌の白さが際立ちます。」

「そう?千葉くんは黒髪サラサラストレートヘアだから似合うけど、僕、クルクルもはもはヘアーだから和服は似合わないと思うけどね。
あ、とうもろこし食べよう。お腹ペコペコ。」

人混みの中に屋台の灯りを発見する。

「うわぁ、人すっごいなぁ。尚也くんに逸れないで下さいね?誰かに付いてったりしないでくださいよ?」

僕の事、小学生だと勘違いしてるのかな。
千葉くんより年上なんだけどなぁ。

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