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土砂降り

第16章 16




「俺と健斗、付き合ってるから。」

…………。


「はぁっ!?」
ガバッと起きて思わず2人の顔を見てしまう。

バツの悪そうな顔した健斗とニコニコした春樹の顔。
久しぶりに見た2人の顔に、一瞬だけ泣きつきたくなった。

「びっくりしたよね。もちろん、俺はずっとなおの事が好きだったよ。恋愛対象としてね。」

不意を突かれて聞きてくなかった話をされて目線が布団へ落ちる。

「俺もだ。俺もなおが好きだった。お前がエロい相談してきた時はチャンスだと思ってそのままヤった。お前は俺たちの気持ちに気がついてなかったしな。」

「俺も。健斗から連絡きて、なおの話聞いて。なおを抱きたくて、なおが分かってないのをいい事になおを抱いた。ごめんね。なおの純粋さを利用したんだ。」

謝る春樹の言葉にぎゅっと布団を握りしめる。

「違うよ。2人は、好きだったんだからいいんだよ。
でも僕は違う。」

溜まった雨が溢れ出してくる。
最初は降ってる事すら気がつかなかったのに。

「僕は途中から、2人が、僕の事、、好きだって気が付いたのにっ。気が付いた後も2人を手放したくなくて、身体で繋ぎ止めようとしたんだよ。」

泣くなんてズルイってわかってるのに涙は止まってくれない。
僕は責められる立場であって、泣いていいはずがないのに。

積み重ねた僕の罪は消せない。

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