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土砂降り

第16章 16

「なお。俺たちは皆ズルかったね。
でも俺たちは今後なおを抱かない。付き合ってるんだ。なおが好きだったけど叶わない恋だって分かってた。健斗が救ってれたんだ。
恥ずかしいから詳しい事は言わないよ?」

春樹が恥ずかしそうに笑う。

「なおを抱く事はなくても、なおが倒れれば心配するよ。それにずっと友達だ。分かるだろ?俺たちに、なおが必要だって。なおもそうだろ?なにも変わらないよ。」

優しい春樹は僕の腐った行いをなかった事にしようとしてくれる。

「なお。逃げるのはやめろ。
助けてやる。俺も春樹もお前が大切だ。
向き合え。全員を傷付けない事は出来なくても、それでも向き合え。逃げた分をちゃんと清算しろ。」

僕の頭に手を置くと健斗は部屋を出て行ってしまう。

春樹と二人っきりを気まずいと思うのは初めての事だった。

「健斗がね。一緒に居てくれたんだよ。
今までなおを通してしか関わりのなかった健斗が。
なおと連絡が取れなくなって、なおがどんどんおかしくなって行って。不安だったよ。なおに嫌われた。捨てられたんだって。」

「嫌いになんてならないよ!」

「うん。健斗に言われた。
なおは俺たちの気持ちに気が付いたんだろうって。それで自分を責めて、それでもあいつは頑固だから自分に嘘も付けなくて望んだ結果と気持ちがバラバラで対処しきれずに逃げたんだって。」


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