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はな*つむ

第1章 陽炎

(あぁ、まだ、終わらないの?)

 氷雨は心の中で呟く。

 ずんずんと深くを突く感覚が強くなる。
 男の動きがいっそう激しく変わった。

(待って、何をするの?)

 激しく何度も突いてくる感覚と、力の籠った手。
 彼女の中にある熱い物が、更に太くなった様に感じた。

 氷雨の心に恐怖が芽生える。

 ーーこの鬼の正体を氷雨は知っていた。
 この役目は必ず、家の中で最も優れた退魔師が行う。

 優れた退魔師……それは……。

「あっ、おぉ、あに様! 何を、なさるの……!」

 激しく突き上げる相手は紛れもなく実の兄である氷桜だ。
 彼は今、その欲望を吐き出さんとしていると、無知な氷雨ですら分かる。

 しかも、自身の中に……。

「い……やぁっ!」

 中に出される事だけは避けたかった氷雨は逃げ出そうともがく。
しかし男の力に敵うハズも無い。

 しかも、彼女がもがいた結果、更に男の体は熱を上げた。


 氷雨の中で男のモノはぐっと張り、とうとうたぎる欲望を吐き出した。


 中に熱い物を放たれた氷雨の目から大粒の涙が溢れる。
 涙に満たされた視界は揺らめき、陽炎の中に居るような景色が広がった。

 氷桜が放った熱は、氷雨の中を熱く満たす。


 こうして、最初の儀式は終わり、氷雨は一人前の退魔師になった。

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