
欲望
第3章 追いかけて追いかけて
走って帰った
いつもはバスに乗る道も走って帰った
何も考えたくなかった
‘ただ慰めていた’そう思おうとしても、思えなかった
追いかけても追いかけても、もう届かない
本気でそう思った
咲妃の気持ちなんか先生には何にも届いてなかったんや・・・
ふと足に力が入らなくなった
咲妃は走るのをやめて、ゆっくりゆっくり歩いた
まゆにも何も言わずに帰ってきちゃった・・・
謝らないと・・・
もうあきらめなきゃいけない
そう思うと今度は急に冷静になってきた
結局、いつもの倍以上の時間をかけて駅についた
