
欲望
第3章 追いかけて追いかけて
「藤本・・・」
先生は少し息を切らせていた
「・・・なに?」
素っ気ない言葉しか出てこない
そうしないと泣いてしまいそうで・・・
「何って・・・藤本、さっき泣いてたやろ?」
「・・・泣いてないもん」
「嘘つくなよ。あの子はちょっと今悩んでてな・・・」
「その子の話するなら、帰るから放してっ!」
「違うって!あぁもう・・・」
先生が怒っちゃったのかと思って咲妃は体をビクンと震わせた
すぐそこにあった多目的トイレに先生は咲妃を連れて入った
鍵を閉めた瞬間、咲妃をぎゅっと抱きしめてキスをした
触れるだけの優しいキスだった
何が何だかわかんなくて、咲妃は固まってしまった
先生はそんな咲妃を抱きしめたまま言う
「お願いやから、卒業まで待ってて。お前が泣いたりしてるの見たら抑えられやんくなるやろ・・・」
「なにそれ・・・そんなん先生、咲妃のこと好きみたいやで」
「そう言ってるつもりやけど?」
「そんなわけないやん!だって、いっつも咲妃が何言っても興味なさそうやし、それに・・・」
そう言いかけたところで、また唇をふさがれた
次は深い深いキスだった
「んっ・・・んんっ・・・」
唇がそっと離れた
「まだ言う?」
咲妃は顔を真っ赤にして首を振った
