
僕と君と彼と。
第1章 夢
静かな廊下にもうすぐ二限目が始まる事を知らせる予礼が響き渡る。
下の階から数人の足音がバタバタと足早に反響して聞こえる。
「…授業、行かないと」
口ではそう呟くが、体は一向に教室に戻ろうとしない。
この階は普通教室も教科教室も無く、普段授業に使われない為このまま此処に居ても気付かれない。
所謂、サボりの名所だ。
「……どうせ僕は『見えない』んだから、授業に出たって…」
ははっと自傷気味に笑う。
壁に背中を当て滑り落ちる様に廊下に座り込んだ。
手を離した杖はカラン、と大きな音を立て横たわる。
僕の顔には包帯が巻いてある。
『見えない』ように目に巻いてある。
このせいでいじめられることも多かった。
物を隠されたり、足を引っかけられたり、勿論暴力を受けた時期もあった。
それらは、高校になれば激減した。
が、やはりいじめる奴等は居た。
しかし三年になるにつれ、いじめの回数は減っていったし、いじめの質も落ちていった。
今ではほとんどいじめは無い。
だから、教室に戻りたくない理由はいじめじゃない。
ただ、面倒なだけ。
全てが、面倒なだけ。
下の階から数人の足音がバタバタと足早に反響して聞こえる。
「…授業、行かないと」
口ではそう呟くが、体は一向に教室に戻ろうとしない。
この階は普通教室も教科教室も無く、普段授業に使われない為このまま此処に居ても気付かれない。
所謂、サボりの名所だ。
「……どうせ僕は『見えない』んだから、授業に出たって…」
ははっと自傷気味に笑う。
壁に背中を当て滑り落ちる様に廊下に座り込んだ。
手を離した杖はカラン、と大きな音を立て横たわる。
僕の顔には包帯が巻いてある。
『見えない』ように目に巻いてある。
このせいでいじめられることも多かった。
物を隠されたり、足を引っかけられたり、勿論暴力を受けた時期もあった。
それらは、高校になれば激減した。
が、やはりいじめる奴等は居た。
しかし三年になるにつれ、いじめの回数は減っていったし、いじめの質も落ちていった。
今ではほとんどいじめは無い。
だから、教室に戻りたくない理由はいじめじゃない。
ただ、面倒なだけ。
全てが、面倒なだけ。
