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未来感染775

第2章 過去と拒絶

メキメキと爪が立ち、地面に喰い込む

このまま家の中に入って
暴れてやろうかと思った。

苛立ちをひっしでおさえこむ

まだ続く二人の喧嘩は

苛立ちをふくらませる


じきに胃がキリキリと痛くなってくる。

もう抑えきれなかった

口からは自分のものとは思えないくらいの

凄まじい声

牙はガッとむき出し、眉間にしわを寄せて


玄関を突き破ろうと向かっていったとき




ガチャ




妹として可愛がっていたみさとが出てきてしまった

(やばい!)

妹はビクッと怯えたような表情を見せたが

それはほんの一瞬のことで

俺だとわかったのかホットしたような顔をして素早く靴を履き近づいてきた

「お兄ちゃん!」

お兄ちゃん。そうよんでくれた
俺がこのやうな姿になっても
俺だと認識してくれて
お兄ちゃんとよんでくれている

嬉しかった

「みさと…」


「みさと!!こんな遅くに外に出てどうしたの!!?早く中に入りなさ───…!!??」

俺を一番邪魔もの扱いしているやつに見つかった。

「きゃぁああ!!?化け物っ!!!!」

「どうした!!?」
続いて父も出てくる。

「!!??」

二人ともこのような反応をするのは分かりきっていた。

(俺はもう、さとみさえいてくれれば──…


「こらさとみ!早くこっちに来なさい!
こんな訳のわからない獣、
噛み付いてきたらどうするの!!!?」

「ん?狼?それとも犬…」


「違うよ!お父さん!お母さん!
お兄ちゃんだよ!!」

「…え?」
「っ…!」

「俺…」
歩み寄ろうとするととんでもない言葉を
浴びせられた


「来るな!あんたなんてうちの子じゃない!
これ以上私達に近づかないで!!」

「お母さん!!?何言ってるの!?お兄ちゃんだよ!!」


「早く!さみみ!!家の中に入って!!」

「でもっ…!」

「早く!」

バタン!
ガチャ…


父は何も言わなかった。




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