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conqueror

第7章 春夢

彼から熱く噴き出してくる。

私の体が、それを受け止める。

彼が私の上に覆い被さる。

その重みさえ、刺激を生み出している。

長い長い余韻。

体から、解き放たれて、宙を舞うよう。

白い光に包まれて。

やがて、糸で引っ張られるように、体の中へ戻ってきた。

彼の手が私を抱き締めてくれていた。

「まるで、ここにいないみたいに、ボーっとしてたね。」

「コウさんが言った通りだった。私、今までとは違う感じだった。」

なぜだかわからないけれど、涙が出そうになって、言葉に詰まった。

儚い。

幸せだったけれど、必ず終わりがある。

彼と離れてしまった。

あんなに一つだったのに、今は離れてしまった。

そのことが、少し寂しく感じられた。

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