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第9章 月光

迷っていても、仕方がない。

行くしかないのだから。

あたりに客がいないタイミングを見計らって、レジに並んだ。

なるたけ、視線が合わないように、ここでもカバンの中の財布を探しているフリをした。

レジのおばさんに、気付かれていないはずはないけれど、相手も気付いてない風に装ってくれたのだろう。

お金を払って、店を出た。

かなり緊張していたので、全身から汗が出ていた。

帰りは少し上りだけれど、行きよりもずっと軽い足取りだった。

メールを送って、買い物してきたことを伝えた。

彼から返信がきたのは、夜になってからだった。

『今から電話をかけても、大丈夫ですか?』

彼から電話がくるとは、思ってもみなかったので、嬉しくて、すぐに返信した。

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